電帳法 対応状況チェック表
| 対応すべきこと | 義務/任意 | 対応済み? |
|---|---|---|
| メール・Web受取の請求書PDFを電子保存 | **義務** | □ |
| ファイル名に「年月日_取引先_金額」を付与 | **義務**(検索要件) | □ |
| 紙の領収書をスキャン保存 | 任意(推奨) | □ |
| 会計ソフトの電帳法機能を有効化 | 任意(推奨) | □ |
| 電子取引データのバックアップ体制 | **義務**(アクセス要件) | □ |
最初の一手:メールに届いているPDF請求書を「電帳法_電子取引/2026/月別」フォルダに保存するだけで、義務の8割は満たせる。
この記事は電帳法(電子帳簿保存法)の対応方法・保存要件・クラウド活用に特化しています。会計ソフトの選び方は → freee vs マネーフォワード 中小企業はどっちを選ぶ をご覧ください。
電帳法(電子帳簿保存法)とは・2026年時点での義務
電子帳簿保存法(電帳法)は、国税関係の帳簿・書類を電子データで保管することを認める法律だ。2022年の改正と2024年1月からの完全義務化で、中小企業も対応が必須になっている。
2026年時点での主なポイント:
| 区分 | 内容 | 義務/任意 |
|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 会計ソフトで作成した帳簿・決算書の電子保存 | 任意(推奨) |
| スキャナ保存 | 紙の領収書・請求書をスキャンして電子保存 | 任意(推奨) |
| 電子取引データ保存 | メール・クラウドで受け取った請求書等の電子保存 | **義務** |
義務化の核心:「電子取引」は紙に印刷して保存できなくなった
2024年1月以降、メールで受け取ったPDFの請求書・ECサイトでダウンロードした領収書を「紙に印刷して保存」することは原則不可。電子データのまま保存しなければならない。
対象になる「電子取引」の具体例
以下のようなやり取りは全て「電子取引」に該当し、電子データで保存が必要。
- 取引先からメールで受け取ったPDF請求書
- AmazonビジネスのWeb領収書
- Googleドライブ・Dropboxで共有された見積書
- インボイス対応の電子請求書(クラウドから発行されたもの)
- ECサイトの注文確認メール(一定金額以上)
電子保存の要件(何を守れば合法か)
電子取引データを電子保存する際には以下の4要件を満たす必要がある。
①真実性の確保
「改ざんされていないこと」を証明できる方式で保存する。具体的には:
- タイムスタンプを付与する
- または「相互関連性が確認できる」管理体制を整える(訂正削除履歴を残す等)
②可視性の確保
保存したデータが読める状態にあること。PDFはAdobe Reader等で表示できる形式で。
③検索要件
以下の検索ができるように保存する:
- 取引年月日
- 取引金額
- 取引先名
日本語のファイル名に「年月日_取引先名_金額」を含める形式にするか、会計ソフトの電帳法機能を使う。
④バックアップ・アクセス制御
税務調査の際に速やかに提示できること。適切なバックアップがあること。
実際の対応方法(ステップ別)
Step 1: 自社の「電子取引」の件数を把握する
月に何件のメール請求書・Web領収書が発生しているか確認する。
チェック項目:
□ 仕入先からのメール請求書(PDF)はあるか
□ AmazonビジネスのWeb領収書を使っているか
□ クラウドツールの請求書はどこで保存されているか
□ 電気・通信費の明細はWebから取得しているか
Step 2: 保存場所を決める
クラウドストレージ(Googleドライブ・Dropbox・OneDrive等)のフォルダを「電帳法対応用」として設定する。
推奨フォルダ構成:
電帳法_電子取引/
├── 2026/
│ ├── 01月/
│ │ ├── 20260110_株式会社A_100000.pdf
│ │ └── 20260115_Amazon_50000.pdf
│ └── 02月/
│ └── ...
ファイル名を「年月日_取引先名_金額」にすることで検索要件を満たせる。
Step 3: 会計ソフトの電帳法機能を使う
freee・マネーフォワードクラウド会計はいずれも電帳法対応機能を備えている。請求書をアップロードすると自動でタイムスタンプが付与され、検索も可能になる。
freeeの場合:
- スマートフォンアプリで領収書を撮影 → 自動でOCR読み取り → freeeに保存
- 電帳法要件を自動的に満たす
マネーフォワードの場合:
- 請求書受取ボックス機能 → メール受信した請求書PDFを自動取込
- タイムスタンプ付与対応
Step 4: 紙の領収書はスキャナ保存(任意)
スキャナ保存は義務ではないが、紙の保管スペース削減のために活用する企業が増えている。スマートフォンのカメラでも条件を満たせる(解像度・色調等の要件あり)。
会計ソフト別・電帳法対応機能比較
主要クラウド会計ソフトの電帳法対応状況を比較する。
| ソフト | 電子取引保存 | タイムスタンプ | スキャナ保存 | 月額費用(個人〜法人) |
|---|---|---|---|---|
| freee会計 | ○ | ○(自動) | ○ | 2,380円〜 |
| マネーフォワード クラウド | ○ | ○(自動) | ○ | 2,980円〜 |
| 弥生クラウド | ○ | ○ | ○ | 26,000円/年〜 |
| 会計freeeセルフ | △(手動) | × | △ | 980円/月 |
freee・マネーフォワードはどちらも電帳法の主要要件を満たしている。 既に使っている方のソフトで電帳法機能を有効化するだけで対応できる場合が多い。会計ソフトの選び方は → freee vs マネーフォワード 中小企業はどっちを選ぶ を参照。
電帳法とインボイス制度の関係・違い
「電帳法」と「インボイス制度」は別の制度だが、対応する書類が重なるため混同しやすい。
| 項目 | 電帳法 | インボイス制度 |
|---|---|---|
| 目的 | 帳簿・書類の電子保存を認める(義務化) | 消費税の仕入税額控除のための書類要件 |
| 対象 | 全事業者(消費税課税・免税どちらも) | 消費税の課税事業者(免税事業者は関係薄い) |
| 保存すべきもの | 電子取引のデータ全般 | 適格請求書(インボイス)の写し |
| 施行 | 2024年1月義務化 | 2023年10月開始 |
実務上の関係: インボイス対応の電子請求書を受け取ったら、その請求書データは電帳法の電子取引保存義務の対象でもある。一度の保存で両方の要件を満たすよう管理すると効率的だ。
具体的な保存方法(両制度対応):
- 取引先からインボイス対応のPDF請求書をメールで受け取る
- 電帳法フォルダに「年月日_取引先名_金額(税抜).pdf」で保存
- 会計ソフトに経費として入力・請求書PDFを添付
- これでインボイス保存義務・電帳法電子取引保存義務の両方を満たす
よくある誤解・NGパターン
NG①「紙に印刷して保存すれば電帳法に対応している」
2024年1月以降、電子取引のデータを紙に印刷して保存することは原則不可(義務化対応済みと見なされない)。
NG②「フォルダに保存しているだけでOK」
ファイル名に「年月日・取引先・金額」が含まれていないと検索要件を満たさない可能性がある。
NG③「小規模だから関係ない」
青色申告・白色申告に関わらず、全事業者が対象。個人事業主でも電子取引(メールやECの領収書等)があれば対応が必要。
税務調査でのリスク
電帳法違反が発覚した場合のリスク:
- 青色申告の取り消し(重加算税等の対象)
- 無申告加算税・過少申告加算税
ただし2026年時点では「やむを得ない事情がある場合」の宥恕措置が終了し、原則として適切な対応が求められる。顧問税理士・会計ソフト会社に確認して早期対応することをすすめる。
よくある質問(FAQ)
Q. Amazonの領収書は全部保存が必要ですか?
A. Amazonビジネスのサイトからダウンロードした領収書・注文確認書は電子取引に該当します。金額の大小に関わらず保存が必要です。
Q. クレジットカードの明細は電帳法の対象ですか?
A. カードの利用明細書自体は電帳法の電子取引には該当しません。ただし、カードで支払った取引の領収書(メールやWebのPDF)は電帳法の対象です。
Q. 電帳法に対応した会計ソフトはどれですか?
A. freee・マネーフォワードクラウド会計・弥生クラウドなど主要クラウド会計ソフトは電帳法対応機能を搭載しています。オンプレミスの旧型ソフトは対応状況を確認してください。
Q. 顧問税理士に任せれば大丈夫ですか?
A. 税理士は申告サポートが主な業務で、電帳法の対応(ファイル保存の仕組み作り)は事業者側で行う必要があります。税理士に相談しつつ、自社の保存体制を整えることが必要です。
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まとめ
電帳法対応の最低限すべきこと:
- 電子取引データを電子のまま保存する——印刷保存は不可
- ファイル名に「年月日・取引先・金額」を含める——検索要件を満たすため
- freee・マネーフォワードの電帳法機能を使う——タイムスタンプ・検索機能を自動化
「何から始めればいいかわからない」という場合は、まずメールに届いているPDF請求書を専用フォルダに入れ始めることから始める。それだけで電子取引データ保存の義務はほぼ満たせる。
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本記事の情報は2026年5月時点のものです。税法の解釈については顧問税理士にご確認ください。
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静岡県で倉庫会社を経営しています。年商4億円・従業員30名・創業55年のザ・中小企業です。
大学はアメリカ(カリフォルニア州立大学ノースリッジ校)で運動生理学を専攻して2009年卒業。卒業後は外資系医療機器メーカーで営業職として働いていましたが、14年前に家業に入社。課長・部長・専務取締役を経て、2年前に社長に就任しました。
AI活用を始めたのは約3年前。紙・Excel・電話だけで回っていた倉庫業の現場をなんとかしたいと思ったのがきっかけです。それからClaude・ChatGPTを中心に、実際の業務改善で毎日試行錯誤しています。
コンサルでも研究者でもない「普通の中小企業の社長がAIを使ってみたリアル」を発信しています。
モットーは「人生を最大限楽しむ」。好きな言葉は「生きてるだけで丸儲け」。


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