中小企業が助成金で従業員を採用・育成した事例【キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金】

中小企業が助成金で従業員を採用・育成した事例【キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金】 補助金・助成金
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中小企業が使える人材系助成金 比較一覧(2026年度)

助成金 主な用途 助成額の目安 難易度
キャリアアップ助成金(正社員化コース) 非正規→正社員転換 1人あたり80万円 ★★☆
人材開発支援助成金(人への投資促進コース) 研修・資格取得費用 経費の60〜75% ★★☆
トライアル雇用助成金 試用採用中の賃金補助 月4〜5万円×最大3ヶ月 ★☆☆
特定求職者雇用開発助成金 高齢者・障害者等の採用 月2.4〜6万円×12〜36ヶ月 ★★☆

補助金と違い、助成金は「要件を満たせば原則もらえる」制度だ。採択率という概念がなく、書類が整っていれば受給できる。ただし、申請を知らないまま見逃している中小企業が多い。


中小企業が使える人材系助成金

人手不足が深刻な中小企業にとって、採用・育成コストは大きな負担だ。しかし、厚生労働省が管轄する助成金を活用することで、採用・研修・賃上げにかかるコストの一部を回収できる。

補助金と違い、助成金は「要件を満たせば原則もらえる」制度だ。採択率という概念がなく、書類が整っていれば受給できる。

主な人材系助成金:

  • キャリアアップ助成金
  • 人材開発支援助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金

  • キャリアアップ助成金

    概要

    非正規雇用(パート・アルバイト・派遣)の従業員を正社員に転換・賃上げすることで受給できる助成金。

    正社員化コースの主な要件と助成額(2026年度)

    コース 助成額(中小企業)
    有期→正規転換 1人あたり80万円
    短時間→正規転換 1人あたり80万円
    派遣→正規転換 1人あたり80万円
    賃金規定等共通化 1事業所あたり60万円
    賃金規定等改定 1人あたり最大50万円

    重要な要件:

  • 就業規則に「正社員転換規定」を設けている
  • 転換後、転換前比6%以上賃金を増額している
  • 3ヶ月以上継続して雇用していた非正規従業員を転換する
  • 転換後6ヶ月間継続して雇用する
  • 実際の事例:倉庫スタッフの正社員化

  • 対象: 倉庫スタッフ2名(有期契約・時給1,100円)を正社員転換
  • 転換後の月給: 22万円(転換前比11%増)
  • 受給額: 80万円 × 2名 = 160万円
  • 手続き期間: 転換から6ヶ月後に申請 → 審査3〜4ヶ月 → 受給
  • 年収換算で264万円の採用コストがかかる社員を採用するのに、160万円が戻ってくる計算だ。採用費・研修費を含めた総コストと比較すると、助成金を活用しないのは明らかに損だ。

    申請でよくある失敗

  • 就業規則に転換規定を明記していなかった
  • 転換前後の賃金増加率が要件(6%)に届いていなかった
  • 対象期間中に離職させてしまった(転換後6ヶ月継続が要件)
  • 申請のタイミングを逃した(転換後6ヶ月の申請期限あり)

  • 人材開発支援助成金

    概要

    従業員のスキルアップ・資格取得・研修受講にかかる費用と訓練期間中の人件費を助成する制度。研修費と在籍中の賃金の両方が補助されるため、実質的に「研修費がほぼゼロ」になるケースも多い。

    人への投資促進コース(主要コース)

    項目 助成内容(中小企業)
    研修費(外部研修) 経費の60〜70%
    研修費(IT・デジタル人材育成分野) 経費の75%
    訓練中の賃金 時間あたり960円
    OJT(職場内訓練) 実施助成760円/時間

    対象となる研修の例:

  • フォークリフト・クレーンなどの技能資格取得
  • ビジネスITスキル研修(Excel・会計ソフト・DXツール)
  • マネジメント研修・リーダーシップ研修
  • 語学研修(業務に必要な場合)
  • AI・データ分析・デジタルマーケティング研修(IT分野は補助率アップ)
  • 実際の事例①:フォークリフト免許取得支援

  • 対象: 新入社員3名のフォークリフト免許取得
  • 研修費用: 1人あたり約6万円 × 3名 = 18万円
  • 助成額(研修費): 18万円 × 60% = 約10万8千円
  • 賃金助成: 延べ約90時間 × 960円 × 3名 = 約25万9千円
  • 合計受給額: 約36万7千円
  • 18万円の研修費をかけて36万円超が戻ってくる。採用後の研修はほぼタダになる計算だ。

    実際の事例②:DX・AIツール研修(IT分野・補助率アップ)

    倉庫会社が経理担当・バックオフィス2名にマネーフォワード クラウドのDX研修を受講させたケース。

  • 研修費用: 2名 × 8万円 = 16万円
  • 助成額(IT分野・75%補助): 16万円 × 75% = 12万円
  • 賃金助成: 延べ40時間 × 960円 × 2名 = 約7万7千円
  • 合計受給額: 約19万7千円
  • 16万円の研修費で20万円近くが戻る。IT分野・デジタル人材育成関連の研修は補助率が高いため、クラウドツール・DX研修への活用に特に向いている。

    事前計画書の提出が必須

    重要: 人材開発支援助成金は、研修を実施する前に「訓練計画書」をハローワーク(またはポータルサイト)に届け出る必要がある。研修を終えてから「申請しよう」と思っても遅い。研修実施の1週間前までに提出が原則だ。


    トライアル雇用助成金

    概要

    就職困難者(長期失業者・母子家庭の母等)をハローワークの紹介でトライアル雇用した場合に、試用期間中の賃金を助成する制度。

    対象者 助成額(月額) 助成期間
    一般求職者(3ヶ月以上の失業者等) 4万円/月 最大3ヶ月
    障害者 最大8万円/月 最大3〜12ヶ月
    精神・発達障害者 最大12万円/月 最大12ヶ月

    こんな場合に向いている:

  • 採用後に「思っていた人と違った」というリスクを減らしたい
  • 即戦力ではなく、育成前提で採用したい
  • 長期失業者・訓練中の人材を試してから採用したい
  • 注意点: トライアル雇用はハローワーク経由での紹介が前提。求人サイトで応募してきた人には適用されない。


    特定求職者雇用開発助成金

    障害者・60歳以上の高齢者・母子家庭の母親など、就職が難しい層を採用した場合に受け取れる助成金。

    対象者 助成額(月額) 最大助成期間
    60歳以上65歳未満 2.4万円 1年(計28.8万円)
    身体・知的障害者 2.4〜5万円 1〜2年
    重度障害者・精神障害者 6万円 3年(計216万円)

    物流・製造・倉庫業では60代のベテランスタッフを採用するケースも多い。その場合、月2.4万円×12ヶ月=28.8万円の助成が受けられる。ハローワーク経由の採用が要件だ。


    助成金申請の流れ

    ステップ 内容 タイミング
    ①社労士相談 自社が使える助成金を棚卸し 採用・研修の計画前
    ②就業規則整備 転換規定・研修規定の確認・追記 申請前に必須
    ③事前計画届出 訓練計画書・雇用計画書を提出 採用・研修の実施前
    ④実施 採用・研修・正社員転換を実施 計画書提出後
    ⑤実績報告 出席簿・賃金台帳等の書類を提出 実施後の指定期間内
    ⑥受給 審査後に振込 申請から3〜6ヶ月後

    ①社労士への相談

    助成金の申請は複雑で、書類不備で不支給になることがある。初回は社労士に相談することを強くおすすめする。

    費用の目安:

  • 申請代行:受給額の15〜20%(成功報酬型)
  • 月額顧問契約:2〜5万円/月
  • 初年度は代行してもらいながら流れを覚え、2年目以降は自分で申請できるようになる企業も多い。受給額の15〜20%を払っても十分にプラスになるケースがほとんどだ。

    ②就業規則の整備

    キャリアアップ助成金を受給するには、就業規則に「正社員転換規定の明記」が必須だ。社労士に確認してもらうと確実だ。

    ③計画書の事前届出

    人材開発支援助成金は研修前、トライアル雇用はハローワーク紹介前に届出が必要だ。「後から申請」は認められない。


    助成金活用で注意すること

    ①受給まで時間がかかる

    申請から受給まで6ヶ月〜1年かかることが多い。「助成金が入ったら払う」という資金計画は危険だ。

    ②書類管理が重要

    研修の出席簿・賃金台帳・雇用契約書などを適切に保管していないと不支給になる。電子化してクラウドに保存しておくことをおすすめする。

    ③要件は毎年変わる

    助成金の要件・助成額は年度ごとに変更されることがある。申請前に必ず最新の公募要領(厚生労働省のWebサイト)を確認する。

    ④助成金の不正受給リスク

    架空の研修・転換を行っての不正受給は厳しく摘発されており、返還命令+最大5年間の受給禁止のペナルティがある。正規の方法で申請することが大前提だ。


    よくある質問(FAQ)

    Q. 助成金の申請はいつするのがベストですか?

    A. 「採用・研修の計画を立てたとき」がベストのタイミングです。事前に社労士に相談し、就業規則を整え、計画書を届け出てから採用・研修を実施する順番が基本です。実施後に「申請できますか?」と問い合わせても対象外になるケースがほとんどです。

    Q. 社労士に頼まなくても自分で申請できますか?

    A. 要件を正確に理解していれば自分でも申請可能です。ただし書類の不備や申請期限ミスで不支給になるリスクがあります。初回は社労士に依頼し、2〜3回目以降に自社申請に移行する企業が多いです。成功報酬型なら、受給できなければ費用ゼロなので、まずは相談だけしてみてください。

    Q. パート・アルバイトを正社員に転換すると、キャリアアップ助成金はいくらもらえますか?

    A. 有期雇用から正規転換の場合、中小企業は1人あたり80万円が基本助成額です(2026年度)。ただし転換後6%以上の賃金増・就業規則への転換規定の明記・6ヶ月以上の継続雇用などの要件を満たす必要があります。詳細は最新の公募要領または社労士に確認してください。

    Q. 物流・倉庫会社で特に使いやすい助成金はどれですか?

    A. 3つおすすめです。①フォークリフト・クレーン資格取得に使える「人材開発支援助成金(資格取得コース)」、②60代のベテランを採用するときに使える「特定求職者雇用開発助成金」、③未経験の長期失業者を採用するときの「トライアル雇用助成金」です。いずれもハローワーク経由の手続きが絡むため、早めに管轄のハローワークに相談することをおすすめします。


    まとめ

    中小企業が使える主な人材系助成金をまとめる。

    助成金 主な用途 受給額の目安
    キャリアアップ助成金(正社員化) 非正規→正社員転換 1人80万円
    人材開発支援助成金 研修費用・資格取得 費用の60〜75%
    トライアル雇用助成金 試用期間中の費用補助 月4万〜5万円 × 最大3ヶ月
    特定求職者雇用開発助成金 高齢者・障害者採用 月2.4〜6万円 × 1〜3年

    「助成金は使いこなせている企業だけが得をする制度」だ。まず社労士に相談して、自社が使える助成金を棚卸しすることから始めてほしい。


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  • 本記事の情報は2026年5月時点のものです。

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